理想的な体外受精の3つのポイント
育てる
育てる
移植する
体外受精の結果を高めるためには、下記の3つが大切です。
- いかに質の良い卵子を育てるか
- いかに質の良い胚に育てるか
- いかに良い環境の子宮に移植するか
この3つのポイントがクリアできれば、妊娠にぐっと近づくと言えます。
それでは、各ポイント毎に説明していきましょう。
1. いかに質の良い卵子を育てるか……質の良い卵を育てる
PPOS周期は複数の卵が得られ、OHSSが回避できる
当クリニック院の保険治療ではPPOS周期を過剰な排卵誘発剤を用いずに行っています。OHSS(卵巣過剰刺激症候群)などのリスクも回避でき、複数の卵が採れる方法です。
事前の準備で、採卵周期の卵子の質をベストコンディションに整える
また質のよい卵子を得るために、採卵をする前2周期にわたり、ピルの周期投与やカウフマン療法による月経周期のホルモンコントロールを行います。このような事前の準備が、卵巣が質のいい卵子を作るための条件を整えるキーポイントになります。
2. いかに質の良い胚に育てるか・・・質のいい卵子を、質のいい胚へと育てる
受精は、精子と卵子の力で。不必要な顕微授精(ICSI)は行わない
体外受精をする際に、「採卵したけれども受精卵ができず(精子と卵子が受精できず)、移植がキャンセル(胚移植できない)」という事態も起こりえます。しかし、これは患者様にとって大きなストレスになります。
そのため、本来であれば受精できる力を持っている卵子と精子に対しても、「採卵数が少ないから、移植胚を確保するために」「胚移植がキャンセルになっては困る」という理由から、保険的な意味で顕微授精(ICSI)を行う医療機関もあるかもしれません。
しかし、果たしてこれは正しい選択なのでしょうか?
「受精は、卵子と精子の力で」
これが当クリニックの基本です。その力がある以上、受精卵確保のために顕微授精をする必要はないのです。必要がないケースにまで顕微授精を行い、患者様や胚に余分な負担を強いることは避けるべきだと考えます。顕微授精は、受精方法のひとつの手段であって、顕微授精したからと言って「卵の質が良くなる」「妊娠率が上がる」ことはありません。
当クリニックでの顕微授精の適応は、
- 運動精子が350万/ml 以下の重症男性不妊症
- 前回の体外受精で受精障害を認めたもの
(他院も含め2周期以上の受精障害があった場合)
に限定しています。つまり、通常の体外受精では、受精が困難なケースのみ、顕微授精を行っています。
※ただし、凍結精子を使用する場合、緊急採卵や午後採卵などの場合は、クリニック判断でICSIを行うことがあります。
3. いかに良い環境の子宮に移植するか……凍結融解胚盤胞移植で妊娠率20%UP
多胎妊娠を避けるため、単一凍結融解胚移植を行います
当クリニックでは、38歳以下で、体外受精を受けられた回数が2回以内の患者様、もしくは機能性卵管障害の疑いのない患者様の場合は、単一凍結融解胚移植を行います。
胚移植、胚盤胞移植する際に、移植する数は1個のみです。
その理由は、
- リスクを回避(多胎妊娠、キメラなど)
- 移植する胚の数が、1個でも複数でも、妊娠率に目立った差はないとの統計結果が出ているからです。
特に、多胎妊娠については、日本産科婦人科学会の報告でも、出生体重が減り、流産率が高くなり、22週以降の周産期死亡率や後遺障害についても高くなると告げています。母体の合併症も胎児数が多くなるに従って上昇し、これを回避するためには、最悪の場合、減胎手術をしなければならない場合も出てきます。
当クリニックにおいては、ARTを行ったことによる減胎は過去1例もありません。
最高の状態に整えた子宮内膜に、大切に育てた凍結融解胚盤胞を戻す
当クリニックでは、基本的に胚盤胞を移植することが有効だと考えています(胚盤胞移植には、胚を長期培養することで胚が途中で分割を停止してしまい、胚盤胞にならず、移植がキャンセルになる心配はありますが、このような胚は初期胚で移植しても妊娠にはつながりません)。
しかし、体外培養液で育てた胚盤胞を子宮に戻したとき、その子宮内膜の状態は、必ずしも胚にとって着床しやすい環境でないことが多くあります。この時間的なずれを解消し、よい着床環境を作るために、胚盤胞をガラス化法により一度凍結し、その後にホルモン補充周期療法で子宮内膜の状態を整えます。そして、ホルモンが黄体化した日から移植日を決定します。そして、最高の状態を迎えた子宮に、大切に育てた胚盤胞を移植します。さらに、移植する際には、レーザーAHAで透明帯から完全に脱出させ、より着床しやすく、妊娠しやすくします。
この凍結融解胚盤胞移植により、同年齢、同グレードの新鮮胚と比べ、約20%も妊娠率を高くすることが可能となりました。

医師による個別相談
治療や通院についての疑問や不安など、当院の診察前に、個別で医師にご相談できます。
対象の方
- 体外受精をお考えの方
- 当院への転院をご検討の方
- 卵子凍結をご希望の方 など